自宅の整理中、古い切手アルバムから「天皇皇后両陛下御訪欧記念切手」を見つけ、その価値が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。1971年切手の価値は一見すると分かりにくく、他の記念切手との違いも気になるところです。例えば、日本万国博覧会記念切手や、札幌オリンピック冬季大会記念切手の価値と比較してどうなのか、疑問に思うかもしれません。また、天皇皇后両陛下御訪米記念切手、特に昭和50年に発行されたものや、天皇陛下御在位60年記念切手、そして天皇陛下御在位十年記念切手の価値など、他の皇室関連の記念切手との関係性も知りたいポイントでしょう。この記事では、天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の使い方といった実用的な情報から、その市場価値がどのようになっているのか、背景にある理由までを詳しく解説していきます。
- 天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の現在の市場価値
- 価値が上がりにくい背景にある具体的な理由
- 他の有名な記念切手との価値比較
- 売却以外の実用的な活用方法
天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の価値と市場価格
- 1971年切手の価値は発行枚数が鍵
- 日本万国博覧会記念切手との比較
- 札幌オリンピック冬季大会記念切手の価値
- 人気低迷が価値の上がらない一因に
- 天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の使い方
1971年切手の価値は発行枚数が鍵
1971年に発行された切手の価値を考える上で、最も重要な要素は「発行枚数」です。天皇皇后両陛下御訪欧記念切手が発行された1970年代前半は、日本中で切手収集ブームが巻き起こっていた時代でした。このため、多くの記念切手が膨大な数、発行されることになります。
需要に応える形で大量に供給された結果、希少性が著しく低くなりました。切手の価値は、基本的に希少性、つまり手に入りにくさに大きく左右されます。当時の子供から大人まで多くの人々がコレクションしていたため、現在でも未使用の美しい状態で残っているものが多く存在します。
したがって、1971年発行の多くの記念切手は、歴史的な意義がありながらも、市場での評価は額面通りか、それをわずかに下回るケースがほとんどです。御訪欧記念切手もこの例に漏れず、高いプレミア価値が付くことは稀であると考えられます。
日本万国博覧会記念切手との比較
天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の価値を客観的に把握するために、同時代を象徴する別の記念切手と比較してみましょう。その代表例が、1970年に発行された「日本万国博覧会記念切手」です。大阪万博は国家的な一大イベントであり、発行された記念切手も非常に高い人気を誇りました。
しかし、この万博記念切手も、切手ブームの真っ只中に発行されたため、数千万枚単位という極めて多い発行枚数でした。国民的な関心事であったため、多くの人が記念品として購入し、大切に保管してきました。その結果、現在でも市場に多数流通しており、希少価値はほとんど認められていません。
このように、歴史的なイベントを記念した切手であっても、発行枚数が多ければ価値は上がりにくいのです。御訪欧記念切手も、万博記念切手と同様の背景を持つため、市場での評価も似たような傾向を示すことになります。
札幌オリンピック冬季大会記念切手の価値
もう一つの比較対象として、1972年の「札幌オリンピック冬季大会記念切手」が挙げられます。オリンピックは世界的なイベントであり、これを記念する切手はコレクターの注目を集めやすいテーマの一つです。しかし、この切手もまた、価値の面では御訪欧記念切手と似た状況にあります。
札幌オリンピックが開催された1972年も、依然として切手ブームの熱気は冷めていませんでした。そのため、寄付金付き切手を含め、数種類の切手が大量に発行されています。特に、小型シートはデザイン性も高く人気がありましたが、やはり供給量が膨大であったため、現在では高いプレミア価値が付くことはありません。
これらのことから、1970年代初頭に発行された記念切手は、テーマの重要性にかかわらず、例外なく「発行枚数の多さ」という共通の要因によって、価値が抑制されていることが分かります。
人気低迷が価値の上がらない一因に
発行枚数の多さに加え、現在のコレクター市場における「人気の動向」も、価値が上がらない一因と考えられます。切手収集の世界も時代と共にトレンドが変化します。近年では、アニメやキャラクター、あるいは特定の動植物を描いたデザイン性の高い切手に人気が集まる傾向があります。
天皇皇后両陛下御訪欧記念切手のような、フォーマルで荘厳なデザインの切手は、歴史的資料としての価値はありますが、現代の主要なコレクター層の嗜好とは少し異なっているのかもしれません。切手の価値は需要と供給のバランスで決まるため、たとえ供給が多くても、それを上回る強い需要があれば価値は上昇します。
しかし、現状ではこの切手に対する熱狂的な需要は限定的であり、これもまた市場価格が伸び悩む大きな理由の一つとなっています。
天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の使い方
では、コレクションとしての価値が期待できないのであれば、この切手はどのように活用すればよいのでしょうか。最も実用的で有効な使い方は、郵便料金として使用することです。
郵便料金としての活用
この記念切手は、日本郵便が発行した正式な郵便切手であり、現在でも額面通りの金券として使用できます。御訪欧記念切手の額面は15円です。例えば、現在の定形郵便物の料金は84円なので、この切手を5枚(75円分)貼り、残りの9円分を他の切手で補うといった使い方が可能です。
使用時の注意点
注意点として、切手を貼るスペースには限りがあるため、多くの枚数を必要とする高額な郵便物には不向きかもしれません。また、古い切手のため、裏糊の粘着力が弱くなっている場合があります。その際は、スティックのりなどで軽く補強すると、郵送中にはがれてしまうのを防げます。売却しても大きな金額にならないのであれば、日々の郵便物に少しずつ使っていくのが賢明な活用法と言えるでしょう。
他の皇室記念切手から見る天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の価値
- 天皇皇后両陛下御訪米記念切手も同様の傾向
- ちなみに御訪米記念は昭和50年の発行
- 天皇陛下御在位60年記念切手の価値は?
- 天皇陛下御在位十年記念切手の価値も解説
- まとめ:天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の価値
天皇皇后両陛下御訪米記念切手も同様の傾向
御訪欧記念切手の価値をさらに深く理解するため、他の皇室関連の記念切手にも目を向けてみましょう。特に、1975年に発行された「天皇皇后両陛下御訪米記念切手」は、良い比較対象となります。この切手は、天皇皇后両陛下が初めて公式にアメリカを訪問されたことを記念して発行されました。
御訪欧と同じく、国家にとって非常に重要な外交イベントをテーマとしています。しかし、この御訪米記念切手も、市場での評価は御訪欧記念切手と大差ありません。価値は額面か、それを少し下回る程度で取引されるのが一般的です。
このことからも、皇室関連の記念行事をテーマにした切手であっても、1960年代後半から1980年代にかけて発行されたものは、概して発行枚数が多く、高いプレミア価値が付きにくいという共通のパターンが見えてきます。
ちなみに御訪米記念は昭和50年の発行
ここで、時代背景を少し補足しておきます。「天皇皇后両陛下御訪米記念切手」が発行されたのは、西暦でいうと1975年、元号では昭和50年です。御訪欧記念切手の発行から4年が経過していますが、社会的にはまだ切手収集への関心が高い時期でした。
この時期に発行された切手は、記念行事の重要性に比例して発行枚数も多くなる傾向がありました。日米関係の深化を象徴する歴史的な訪問であったため、この切手もまた国民の記憶に残るものとなりましたが、コレクション市場での希少性は伴わなかったのです。時代の流れと共に、切手が「記念品」としての側面を強く持つようになり、「希少な投資対象」という性格が薄れていった過程がうかがえます。
天皇陛下御在位60年記念切手の価値は?
時代をさらに下って、1986年(昭和61年)に発行された「天皇陛下御在位60年記念切手」を見てみましょう。昭和天皇の在位60年という、歴史的にも非常に大きな節目を記念した切手であり、奉祝ムードの中で発行されました。
この切手も、国民的な関心を集め、多くが発行されたため、現在ではプレミア価値はほとんど付いていません。10万円金貨など、同時に発行された記念貨幣には高い価値が付いたものもありますが、記念切手に関しては状況が異なります。
御訪欧記念切手から15年が経過してもなお、記念切手の発行方針や市場での位置づけが、基本的には変わっていなかったことが分かります。特別な節目であっても、大量発行された切手の価値は上がりにくいという原則が、ここでも当てはまるのです。
天皇陛下御在位十年記念切手の価値も解説
平成の時代に入ってからも、この傾向は続きます。1999年(平成11年)に発行された「天皇陛下御在位十年記念切手」(現上皇陛下)も、その一例です。金地に鳳凰などが描かれた豪華なデザインの小型シートが発行され、話題となりました。
しかし、この切手の発行枚数も2,000万シートと非常に多く、希少性は高くありません。そのため、買取価格も額面を少し超える程度か、場合によっては額面割れすることもあります。
御訪欧記念切手から約30年、時代は昭和から平成へと移り変わりましたが、皇室の慶事を記念する切手が大量に発行され、結果として高いプレミア価値が付きにくいという構造は、平成の終わりまで継続したと言えるでしょう。
まとめ:天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の価値
ここまで、天皇皇后両陛下御訪欧記念切手の価値について、様々な角度から解説してきました。最後に、この記事の要点を箇条書きでまとめます。
- 御訪欧記念切手は1971年に発行された記念切手
- 現在の市場価値は額面通りか、それを下回ることが一般的
- 価値が上がりにくい最大の理由は発行枚数の多さにある
- 1970年代の切手収集ブームが大量発行の背景
- 希少性が低いためコレクターからの高い需要が見込めない
- 大阪万博や札幌五輪の記念切手も同様の価値傾向を持つ
- 他の皇室関連切手と比較しても価値のパターンは同じ
- 御訪米記念切手(1975年)も高いプレミア価値はない
- 御在位60年記念切手(1986年)も同様
- 平成の御在位十年記念切手も発行数が多く価値は低い
- コレクションとしての価値よりも実用的な価値が中心
- 郵便料金として額面(15円)通りに使用できる
- 売却益は期待できないため、郵便に使うのが賢明な活用法
- シート状で保管状態が良ければ若干評価が上がる可能性もある
- 切手の価値は時代と共に変化することを理解しておくのが大切